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くらしかるあわー
物好きの物好きによる物好きの為の毒電波発信のべる。
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2024/05/03 (Fri) 04:53
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2010/03/30 (Tue) 23:57
 

「なによ、300円も奢れないくらいケチなの?」
出てきたジュースを早速口に含みながら、少女は睨んでくる。
少女、少女と言ってるが実際彼女たちは僕と一つしか変わらない。
「……もう、瑛夏。椎名先輩に失礼だよ」
「大丈夫だよ、小夜。椎名はDO・Mロリコンだから、もっと言ってほしいって思ってるよ、ね、椎名?」
「お前な……」
さっきから生意気な口を叩いているのが後輩の秋畠瑛夏だ。
学園生としてはあまりに身長もおっぱいも小さく、中等科に、下手すれば初等科に見間違われる程だ。
思い出したくもないが、前に一度僕が告白したことがあり、そして見事に玉砕しフラれた。
そんな僕の中の黒歴史をロリコン野郎という言葉に変えて、いつまでも僕を苛め続ける。
それが、秋畠瑛夏という女子学生だということを知ったのはフラれてしばらくした後のことだった。
ちなみに僕はロリコンでもなければDO・Mなんかじゃない。
確かに小さな女の子は可愛いと思うが、それは二次元だからこそなんだ。
三次元のロリコンには吐き気がするね。
いいか、ロリコンなら二次元を愛せ。
二次元なら君の期待を裏切らない。
あんなことやこんなことをしても「もー、お兄ちゃんってばぁ……えっち」なんて頬を染めてそれこそ君の望み通りに、そう君が思うがままのレスポンスが返ってくるんだ。
それだよ、まさにそれなんだよ。
三次元には夢がない。
二次元には僕らのドリームが溢れているんだ。
児童帽に体操服姿、勿論ブルマに白のハイソックスとランドセル!
当然スクール水着もいいな!
ああ、虹ロリ最高!!
「……椎名先輩、なんだか顔が危ない人になっていますけど」
「はっ! おっと、僕としたことが……」
「どうせまた変態な妄想でもしていたんでしょ?」
「失礼な奴だな。いくら僕でも街中で、ましてや後輩の前でそんな妄想するわけないじゃないか」
「……そうだよ、瑛夏。いくら椎名先輩と言えども、後輩の姿をまじまじと舐めまわすように見て涎なんか垂らさないよ……ふふ」
「そうだ、小夜の言うとおり。後輩の姿をまじまじと……え?」
今、小夜は何て言ったんだ。
思い出せ、思い出すんだ!
「へ~……あたしにももう一度分かりやすく教えてもらえませんか、椎名せんぱ~い?」
「待て、瑛夏。落ち着こう、話し合えば、人類みな分かち合えるんだ!」
「問答無用! このロリコン野郎ォォォ!!」
「ぎゃあぁぁぁーーーーっ!!」

「……はっ」
「……椎名先輩、大丈夫ですか?」
「ふんっ!」
「イテテテ……あれ、僕は一体……」
「……30秒ほど気絶していました」
顎のあたりがずきずきと何故か痛む。
小夜が言うにはどうやら僕は少しの間気絶していたらしい。
どうして気絶していたのかは思い出すなと本能が僕に訴えかけているような気がしたから、それに従うことにした。
「……ひんやり」
手に持っているペットボトルを僕のおでこに乗せてくる小夜。
あまり冷たくはなかったけれどその行為自体が素直に嬉しかった。
古森小夜。
瑛夏といつも一緒にいる女の子だ。
控えめなおっぱいだけど、瑛夏よりはあるだろうな。
着痩せするタイプなのかもしれない。
会った当初は暗い印象が強かったけれど、実際は暗いというよりも掴みどころが難しいどこかミステリアスな後輩だ。
まったく、隣のチビ助には小夜の爪の垢を飲ませてやりたいくらい、出来た子だよ。
「ああ……ありがとう、小夜」
ふと思い出したように小夜の格好が気になった。
しゃがみこんで僕の額にペットボトルを乗せて、それで……。
「――っ!」
しゃがみこんだスカートの隙間から可愛らしい縞々のパンツが見えた。
水色と白の横縞とは、狙っている。
これは誰かに見られたいとしか考えられないくらい狙ったパンツの柄だった。
王道中の王道、水白縞パン。
まさか……そんな王道を小夜が穿いているなんて。
そうか、ギャップ萌えってやつか、ははは!
例えば「わたくし、このようなお子様みたいな下着は着けない主義ですの」と、いつもはエロエロな下着しか穿かないとある女子学生が実は大の縞パン好きでいつも穿いてました、というそのギャップ萌えなんだろそうなんだろう。
いいねえ、分かってる。
分かってるぜ、さすが小夜だ。
だから、僕に見られたくてわざわざ見られる格好になってると。
シブいぜぇ、まったくおたくシブいよ。
「ああ……ありがとう、小夜」
僕は目の前の眼福に対して感謝の意を表した。
「……椎名先輩、鼻血が出てますけど?」
「っ!?」
「……私の下着、見ましたか……?」
途端に頬を赤らめ、立ち上がる小夜。
風に揺らいで、スカートの中身がもろに見えた。
「……ううっ……!」
「いや、誤解だ! 小夜、落ち着け!」
「ターゲット固定、遮蔽物クリア、空気抵抗無し。小夜、いつでも蹴飛ばしていいよ」
「お、おい……瑛夏、冗談だろ?」
「これが冗談に顔に見える?」
ああ、なんて不気味に笑う人の皮を被った悪魔の顔なんだろう。
「……椎名先輩が悪いんですからねっ」
痛みは一瞬。
消えゆく意識の中で僕はもう一度だけ小夜のパンツをちらりと覗いた。
やっぱり、水白縞パンこそ正義。

「おーい、ロリコン。いつまで寝てるの~?」
「……はっ」
瑛夏の声で目が覚めた。
ん、目が覚めたという表現でいいのだろうか。
とりあえず、目が覚めた。
さっきも同じような出来事が起きたような気がするけど思い出せない。
「んー……」
「いつまで寝ぼけているの? ほら、これ」
そう言った瑛夏は僕にペットボトル入りジュースを渡してきた。
「おっ、さんきゅ」
受け取ったジュースを飲みながら、瑛夏にもこれくらいの心遣いがあるんだなーなんて少し感心してしまった。
はは……明日は雪でも降るかもしれないな。
「……そういえば、椎名先輩」
「ん、どうした?」
「……さっきまで一緒にいた女の子はどうしました?」
「――」
思わず、持っていたペットボトルを落としてしまった。
声にならない声がさっきよりも大きく開いた口から漏れてしまう。
「ああ、そういえば」
瑛夏が思い出したかのように言う。
「ロリコンのくせにあんな可愛い女の子と朝から手を繋いでイチャイチャ登校なんて椎名のくせに~って思ってたんだよね」
「み、見てたんなら先に言えっ!」
「だって椎名、聞いてこなかったじゃん」
くそっ!
失態だ。
こいつらに構っていたせいで木之原のことをすっかり忘れていた。
時計を見ると、もう10分も過ぎてしまっている。
さすがに木之原は行ってしまっただろうか。
いや、木之原の性格上それは考えにくい。
「まったく……女の子待たせるなんて男として最低だよ?」
「ぐぅ……!」
反論する言葉が見つからない。
だって、それは全て俺のせいだからだ。
「……椎名先輩、これ」
差し出してきた小夜の手にはペットボトル入りのお茶が握られていた。
「……次からは気をつけてくださいね」
「お、おお! さんきゅ、小夜」
小夜の優しさに感謝しつつ、僕は木之原のもとに走った。

「……やっぱり」
木之原はさっき別れた場所から動いていなかった。
性格のいい木之原だ。
ここで待っててと言われれば、いつまでも待ち続けたことだっただろう。
ひどい罪悪感が僕の胸を締め付ける。
「ひ、ひどいですよぉ……椎名さん、私を置いてどこか行ってしまったんじゃないかって……!」
「ごめん……」
僕には謝ることしかできなかった。
木之原の泣いてる姿を見ていると、それだけでも足りない気がするけれど。
「ほんとうに……ごめんなさいって思ってます……?」
「ああ、木之原さんが望むなら土下座でもなんでもするよ」
「……えっと……それじゃあ、私の頭なでなでしてください……」
「分かった……え?」
今、木之原は何て言った。
どうやら今日の僕は耳がよくないらしい。
「だから、その……えと……私の頭、なでなでしてもらえたら、それが仲直りのしるしです」
「あ、ああ……分かった」
僕は木之原の頭を優しく撫でた。
なんだか、変な感じだ。
これが仲直りのしるしだなんて。
「うふふふふ。椎名さんの手って大きいんですね」
「そうか? いたって普通だと思うけど」
「包み込んでくれるような、そんな大きさと優しさがあるのです」
恥ずかしいな……。
まさか木之原からこんなことを言われるなんて思いもしなかった。
僕みたいな学生と木之原みたいな学生は住む世界が違うというか。
取り巻く環境が違うから、今まで接点もなかったし、言われる機会も当然ない。
まあ、こそばゆいが言われて不快なものではない。
「って、木之原さんやばいぞ! 補習までの時間、ギリギリだ!」
撫でていた方の腕に着けていた時計の針がちらりと見えた。
補習の時間まであとわずかだ。
遅刻だけは絶対に避けたい。
「あわわわわ! い、急ぎましょう!」
「ああ!」
僕は木之原の手を取って、再び学園まで走った。

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自己紹介:
倉子かるです。
Xbox360で遊んでいたりします。
紆余曲折しながら書いてます。
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