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くらしかるあわー
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2024/05/03 (Fri) 01:46
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2010/03/27 (Sat) 20:10
 

見下ろす街並みは、温かな光で満ち溢れていた。
無機質な機械で大量生産されたものであっても、こうして街に並ぶだけでそこに温かみを増す。
道を歩く人々はきっとそんな些細なことは気にも留めない。
人は目まぐるしく進み、街は人の変化についていこうと何度も何度も姿を変えていく。
人工的に作られた人に、人工的に作られた街。
それは人類がこの地に生を受けてから何一つ変わらない作業みたいなものだ。
作業の過程で人類は何度も進化を遂げて、人を作り、街を作り、規則を作り、そうして今が成り立っている。
しかし、規則を設ければ、どうしてもそれを破りたい衝動に駆られてしまうのが人間というものだ。
世間の目、道徳、倫理。
略奪、殺人、強姦。
規則がなければ人はただのそこらにいる動物と何も変わらない。
本能に従い、本能のままに動く。
だからこその規則は必要なのだ。
そうは思わないか?
後ろで無言のまま佇んでいた動物に向かって振り向きざまに話しかけた。
情事のほてりをいつの間にかシャワーを浴びて冷ましたのか、既にこの部屋に来たときの格好に直っていた。
この動物は余韻というものを知らない。
事が終わったらすぐにシャワーを浴び、着替え始める。
「……」
ふん、言動共々につまらない動物だ。
相変わらず無言を突き通すか。
所詮動物といったところだな。
もう一度街を見下ろす。
この街は何も変わっていかない。
変わるのは人間と動物だけだ。
それがこの世界の絶対的な規則だから。
「……もう用がお済みでしたら、私は退室させていただきます。お父様」
ドアが開けられた音の後、続いてすぐに閉める音が聞こえてきた。
何も変わらない。
そう、変わるのは人間と動物だけ。
見下ろす街の光が一瞬だけ暗く、影を落としたような気がした。

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