ざ、ざざ……ざざざざざ。
ざざざざざざざざざざざざざざざざざ。
ざざざ……ざざざざ……。
ざざざざざざ……ざざざざざざ。
ざざざざ……ざざ、ざざざざざざ。
ざざ……ざざざざざざざざざざざ。
ざざざざざざ……ざざざざざ。
ざざざ……ざざ。
ああああああああああああああああああ。
ああ……あああああ。
ざざざざざ……ざざざざ、ざざざざざざ。
ザザザ……ざざざざざざざざ。
ざザざざざ、ザザザザザざザザざザ。
ZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZAZA。
あああ……ああ。
あ。

「……」
ノイズ。
ノイズが走る。
うるさい。
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい。
頭が痛い。
あまりに耳障りな音だから、鼓膜が破れてしまうんじゃないかって思った程だ。
思う？
違う、これは直感的にそう感じた。
身体がいうことを利かない。
「あ、ああ……あ」
口の中がべったりとした何かが私を犯している。
その何かが温かくて、ぬめぬめして、気持ち悪かった。
だから私はなんとかしてそれを出そうと、いうことを利かない身体の力をなんとか振り絞って吐き出した。
「けほっ……が、はっ……」
血だ。
温かくて、ぬめぬめして、気持ち悪かったそれは私の血だった。
べっとりと赤くて、黒い。
どうして血なんかが私の口から出ているんだろう。
意識が朦朧とする。
そもそも私は誰なんだろう。
誰だ？
誰なの？
誰かしら？
ダレだよ？
ダレ？
「……っ」
痛い。
頭が割れそうに痛い。
ゴム弾を何発も何発も撃ち込まれたような痛さだ。
銃社会でもないのに、そんな例えを思いつく自分自身に嫌気がさす。
ああ……うるさい。
頭上で何かが聞こえる。
子どもの頃に見た花火大会のような爆発音。
だけど、そこまでうるさくなくて、爆発音だけじゃなくて、金属が地面に落ちる音も含まれてて。
何だろう、不快な音だけど懐かしい音。
まるで、発砲音みたい。
……あはは、馬鹿じゃないの。
ここは日本よ。
普通に生活してる人間が発砲音なんて知るわけないじゃない。
「……」
右手の感覚が戻ってきた。
やけに冷たい何かが私の手に握られている。
なに、これ？
激痛に耐えながら首を右手のほうに傾ける。
銃。
銃だ。
なんで……。
なんで、私は銃なんか握っているの。
ダメだ、思い出せない。
頭上から聞こえる音はますます激しさを増していく。
なに、この状況は。
思い出せない？
違う。
思い出さなくちゃいけない気がするの。
思い出しなさい。
私は……私は……！