2010/03/17 (Wed) 01:46
とても優しい風だった。
ふわふわ、さらさらと穏やかな春の息吹が辺り一面を包み込む。
どうしてこんなにも今日の風は優しいんだろう。
電車を待ちながら、少女は一人そんなことを考える。
廃線間近の無人駅のホームには、真新しい制服に身を包んだ小さな少女と、それを見守るようにあまりに美麗な桜の木が一本佇んでいた。
近年の少子化の問題で利用者が年々減り続けたこの駅では、今や数えるぐらいの利用者しかいない。
朝の通勤、通学の時間であっても、両手で数えられるくらいにしかいない。
少女はその内の一人だ。
新しい学生生活に胸躍る期待や、少々の不安を持ちながら、今か今かと電車を待ち続けている。
「どうして、こんなにも今日の風は優しいんだろう」
少女は考える。
きっと私の新しい始まりを後押ししてくれているんだ。
なんとなくだけど、素直にそう思うことができた。
なんだかそう思うだけで自然と笑みがこぼれる。
「あ」
遠くのほうからゆっくりと電車が着たみたいだ。
風が、一瞬強く吹いた。
それは目の前の桜の木が、私を見送ってくれているかのように花びらを揺らしている、そんな気がした。
あはは、なんてね。
ふわふわ、さらさらと穏やかな春の息吹が辺り一面を包み込む。
どうしてこんなにも今日の風は優しいんだろう。
電車を待ちながら、少女は一人そんなことを考える。
廃線間近の無人駅のホームには、真新しい制服に身を包んだ小さな少女と、それを見守るようにあまりに美麗な桜の木が一本佇んでいた。
近年の少子化の問題で利用者が年々減り続けたこの駅では、今や数えるぐらいの利用者しかいない。
朝の通勤、通学の時間であっても、両手で数えられるくらいにしかいない。
少女はその内の一人だ。
新しい学生生活に胸躍る期待や、少々の不安を持ちながら、今か今かと電車を待ち続けている。
「どうして、こんなにも今日の風は優しいんだろう」
少女は考える。
きっと私の新しい始まりを後押ししてくれているんだ。
なんとなくだけど、素直にそう思うことができた。
なんだかそう思うだけで自然と笑みがこぼれる。
「あ」
遠くのほうからゆっくりと電車が着たみたいだ。
風が、一瞬強く吹いた。
それは目の前の桜の木が、私を見送ってくれているかのように花びらを揺らしている、そんな気がした。
あはは、なんてね。
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