2010/03/16 (Tue) 16:02
喜怒哀楽、人はどれを失ったら一番辛いんだろう。
答えは、どれ一つも失ったら辛い、と私は思う。
感情というものは人を成す為にとても重要なものだし、失くしてはいけないもの。
生きてはいける、でも、それだけでそこに以上も以下もない。
存在しているだけの存在。
「……ったく、会ってから数時間だけの関係の人間によく好きだなんて言えるわね」
「えへへ、あたしは惚れっぽい人間なのです」
「……はいはい、そうですか」
ずずずとコーヒーを飲みながら、ようやく心を落ち着かせた。
きっと今自分の顔は見れたものじゃないと思う。
「……ちょっとお手洗い行ってくるから少し待ってて」
「はーい」
「……うーん、やっぱりひどい」
目元が少し赤く腫れている。
そういえば、鏡を使って自分の顔をまじまじと見るなんて久しぶりな気がする。
多少赤くて見れたものじゃないけど、確かに今の表情はいつもとなんだか違ってる……かも。
柔らかくなったというか、表情一つでここまで変わるんだと私自身のことなんだけど違う人のように見える。
これも、瑛夏のおかげなのかもしれない。
最初は、危ない人と思ってたけど話してみるとそんなことなくて、でも、無垢でその無邪気さから人の心を傷つける発言をしてしまう時もある。
けれど、瑛夏は私のことを本気で心配してくれて、私が捨ててしまったものを簡単に見つけてくれて……
不思議ね。
他人を避けて、避けられてた私が今はこんなにも「他人」を欲している。
もっと喋りたいと思うし、一緒にいたいと思う。
この感情は何?
これが、友達……なの?
「……なにそのオカルト話、あんたそんなの信じてるの?」
「えー? いっちゃんはおもしろーい話と思うんだーけど……古森小夜だ」
「……っ」
後ろのドアが開いて、人が入ってきた。
鏡を通して、それがクラスメイトの女子と分かるまで少しの時間も必要としなかった。
確か御咲まなかと藍澤樹って名前だったっけ。
こんな場所で、しかも今の顔を見られるなんて最悪。
「へぇ……こんなところで会うなんて奇遇ね、古森さん」
「いっちゃんもびっくりぃ! てっきり、ひきこもりさんやってると思ったぁ!」
「……っ」
そうだ。
別に気にする必要なんてない。
今までだってそうやって過ごしていたんだから。
だから、今回も大丈夫。
私は、大丈夫。
「ふーん、目元が赤いけど彼氏にでも振られた? それとも友達と喧嘩でもした?」
「……っ!」
「まなちゃんまなちゃん、それは無いと思うよ! だって」
「そんなものいないから!!」
二人が声を同時に発して、それから品の無い笑い声がトイレの中に響いた。
どうしてだろう。
今まで平気だったものが、どうしてこんなにも辛いの。
感情の押し殺し方ってどうやってたの。
瑛夏、教えて。
瑛夏、助けて。
瑛夏、瑛夏、瑛夏……!!
答えは、どれ一つも失ったら辛い、と私は思う。
感情というものは人を成す為にとても重要なものだし、失くしてはいけないもの。
生きてはいける、でも、それだけでそこに以上も以下もない。
存在しているだけの存在。
「……ったく、会ってから数時間だけの関係の人間によく好きだなんて言えるわね」
「えへへ、あたしは惚れっぽい人間なのです」
「……はいはい、そうですか」
ずずずとコーヒーを飲みながら、ようやく心を落ち着かせた。
きっと今自分の顔は見れたものじゃないと思う。
「……ちょっとお手洗い行ってくるから少し待ってて」
「はーい」
「……うーん、やっぱりひどい」
目元が少し赤く腫れている。
そういえば、鏡を使って自分の顔をまじまじと見るなんて久しぶりな気がする。
多少赤くて見れたものじゃないけど、確かに今の表情はいつもとなんだか違ってる……かも。
柔らかくなったというか、表情一つでここまで変わるんだと私自身のことなんだけど違う人のように見える。
これも、瑛夏のおかげなのかもしれない。
最初は、危ない人と思ってたけど話してみるとそんなことなくて、でも、無垢でその無邪気さから人の心を傷つける発言をしてしまう時もある。
けれど、瑛夏は私のことを本気で心配してくれて、私が捨ててしまったものを簡単に見つけてくれて……
不思議ね。
他人を避けて、避けられてた私が今はこんなにも「他人」を欲している。
もっと喋りたいと思うし、一緒にいたいと思う。
この感情は何?
これが、友達……なの?
「……なにそのオカルト話、あんたそんなの信じてるの?」
「えー? いっちゃんはおもしろーい話と思うんだーけど……古森小夜だ」
「……っ」
後ろのドアが開いて、人が入ってきた。
鏡を通して、それがクラスメイトの女子と分かるまで少しの時間も必要としなかった。
確か御咲まなかと藍澤樹って名前だったっけ。
こんな場所で、しかも今の顔を見られるなんて最悪。
「へぇ……こんなところで会うなんて奇遇ね、古森さん」
「いっちゃんもびっくりぃ! てっきり、ひきこもりさんやってると思ったぁ!」
「……っ」
そうだ。
別に気にする必要なんてない。
今までだってそうやって過ごしていたんだから。
だから、今回も大丈夫。
私は、大丈夫。
「ふーん、目元が赤いけど彼氏にでも振られた? それとも友達と喧嘩でもした?」
「……っ!」
「まなちゃんまなちゃん、それは無いと思うよ! だって」
「そんなものいないから!!」
二人が声を同時に発して、それから品の無い笑い声がトイレの中に響いた。
どうしてだろう。
今まで平気だったものが、どうしてこんなにも辛いの。
感情の押し殺し方ってどうやってたの。
瑛夏、教えて。
瑛夏、助けて。
瑛夏、瑛夏、瑛夏……!!
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