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くらしかるあわー
物好きの物好きによる物好きの為の毒電波発信のべる。
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2024/05/06 (Mon) 02:35
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2010/03/13 (Sat) 00:48
 

「歩けそう……?」
今すぐにでも駆け出したかった。
でも、身体が言うことを聞いてくれない。
だから、人付き合いなんて嫌い。
「小夜……小夜、聞いてる?」
勝手に人の心にずかずかと入り込んで、陵辱の限りを尽くして。
あとに残るのは震えと僅かな恐怖心。
私は、人が嫌いだ。
「小夜っ!」
人の温かさを感じる。
やめてよ、そんなの。
「小夜! ごめんね、私が何か気に障ることを言ったなら謝るから! だから、だから……」
瑛夏が泣いてる。
泣いたり、笑ったり、ずいぶん忙しいのね。
「……っ」
気付けば、アーケードを歩く人たちが私たちを見てはくすくすと笑っては通り過ぎていく。
ああ……今日はなんて最悪の厄日なんだろう。
「……小夜?」
「ご、ご飯! お昼ごはんでしょ! ほら、さっさと入るわよ」
「え? あ…う、うんっ!」
穴があれば入りたかったけど、なにもこんな近くの穴に入るなんて、言った直後に少し後悔した。

ずずずと本日3缶目…もとい3杯目のコーヒーを実に美味しくなさそうに飲んでいるところに、私より少し遅れて注文した瑛夏がやってきた。
「小夜、もう大丈夫?」
「……別に、大丈夫もなにも最初から平気よ」
「……そっか」
どことなく瑛夏の顔に負い目を感じてる表情が浮かんでいた。
「……ただ」
「ただ?」
「私のことを知りもしないのに、勝手に決め付けるのはやめて」
別に追い討ちをかけるつもりなんてなかったけど、これくらいは言ってもいいと思った。
それだけ、あの言葉は私の心を鋭利なナイフで切りつけたように、ひどく、傷つけたから。
「うん……分かった」
まるで親に叱られたかのようにしょげて、素直に頷く瑛夏。
本当に感情表現が豊かだと思う。
「……」
「……」
沈黙が私たちの間を包んだ。
別にそれが苦とも思わないけど、目の前にいる瑛夏が今にも泣き出しそうでそれが見ていられなかった。
「……そういえば、その制服見たことないけど、どこの学校の?」
「え?」
「この辺りで見たことなかったから、少し気になってたの」
あまりに突然すぎて今まで忘れていたけど、私たちは名前以外は何も知らないでいる。
歳も、住んでるところも。
雰囲気から同い年と思ってたけど、もしかしたら年下かもしれないし年上かもしれない。
年上だったらちょっとショックだけど。
「あ、そうだね! ちゃんとした自己紹介してなかったね!」
えへへ、とかすかに目じりに涙を浮かべて瑛夏は健気に笑顔を作る。
その笑顔がさっき見せたのよりもとても痛々しくて、弱々しくて、今まで感じたことのない思いが私の心を締め付けた。

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倉子かるです。
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