なんてことはない。
おれの家と天使ちゃんの家はお隣さん同士。
一緒に帰るのも当然といえば当然のことだ。
「でね、美姫ったら、今度デーモンって呼んだ人は軟式用バットで100回叩くって言ってたんだよ～。ふふ。もう、おかしいよね～」
「あ、あはは……」
ごめん、天使ちゃん。
それはおれたちにとっては笑えないわ。
「それで……って、あれ……あれみて、遠藤くん」
「あれ？」
天使ちゃんが指指す先に何かがあった。
あったという表現ではなく、この場合は居たという表現のほうがいいかもしれない。
木製電柱の下でダンボールに入ってる女の子。
なんともシュールだ。
「……捨て犬かな……？」
「いぬぅ？！」
天使ちゃんにはあれが犬に見えるのか。
近づいてよく見るとダンボールのところに貼り紙があった。
「宇宙一かわいい子なので拾ってください。餌は朝昼晩きちんと3食与えてください。デリケートな子なのでお風呂は飼い主と一緒に入ります。寝るときはふかふかのベッドがいいです。なお、宇宙一かわいい女の子です」
貼り紙に書いてあることとは裏腹にその女の子はむすっとした表情だった。
電波ちゃんなのか……。
とりあえず、まあ、そのなんだ。
いなかにようこそ。