2010/03/12 (Fri) 16:19
「……」
「どうしたの、小夜? きょとんとした顔してるけど」
分からない。
私はこの瑛夏という少女が何をしたいのか分からない。
急に人の前に現れて、意味不明なことを言ってきて、それで私の人生を決め付けて。
本当に危ない人なんじゃないだろうか、これから怪しい宗教の勧誘でも始める気なの?
「……なんで、瑛夏はそんなに笑顔なの?」
いろんな疑問も浮かんだけど、とりあえず一番最初に思ったことはこれ。
どうして名前を呼ばれたくらいで瑛夏はこんなにも澄み切った笑顔ができるんだろうか。
「笑顔になることに理由なんて必要? 小夜があたしの事を名前で呼んでくれた、ほら、それだけで幸せになるじゃん!」
えへへ、とさらに瑛夏は顔をほころばせた。
嘘をついているようには見えない。
私は軽く頭痛を覚えそうになった。
なんて、私とは「正反対」の人間なんだろう。
人が多いところは苦手だ。
アーケードの中なんて私にとって生き地獄といっても過言ではないくらい。
息苦しくなるし、なにより喧騒が耳障りで癪に障る。
だから、私は用事がない限り好んではアーケードの中を歩かないようにしてる。
「ねえねえ、小夜。お昼ごはんまだでしょ? あそこの×××に入ろうよ」
その私が、苦行に耐えてアーケードを歩いているというのに、まだ瑛夏はついてきてる。
アーケードの中に入った理由は簡単だ。
瑛夏と別れたかったから、なのに人の気も知らずににこにこと、まるで最初から私の隣が定位置だったかのように歩いている。
はっきり言って迷惑極まりない。
けれど、そんな事を言えないでずるずると、とあるファストフード店の前まで来ている。
「……私、ああいうの嫌いだから」
「えー? イマドキの女の子にしては珍しいー」
瑛夏の発言はいちいち人を苛立たせる。
本当は別に嫌いってわけじゃない。
店内の雑音は嫌いだけど、それでも私はよく利用する方に入るし。
「本当は、実は嫌いなんて嘘で、今はダイエット中だから入るのがイヤとか?」
「っ!?」
にやにや顔で私の顔を覗き込んでくる瑛夏。
怒鳴り声が喉元まで出かかったけど、さすがにアーケードの中で出すのはまずいと思い、なんとか自分の中に押し留めた。
「……入ればいいんでしょ、入れば」
「さすが小夜! 友達想いだね!」
「……っ」
今まで感じたことのない気持ち悪さが私を襲って、ひどく吐きそうになった。
友達想い? 誰が? 私?
嘘。
「大丈夫、小夜? 気分でも悪くなったの……?」
心配そうな顔で覗き込んでくる、この気持ち悪さを作った元凶の瑛夏。
本当に心配してくれているのか、どことなく瑛夏の顔も青ざめている。
なんなの、こいつ。
人の皮を被った悪魔だ。
「どうしたの、小夜? きょとんとした顔してるけど」
分からない。
私はこの瑛夏という少女が何をしたいのか分からない。
急に人の前に現れて、意味不明なことを言ってきて、それで私の人生を決め付けて。
本当に危ない人なんじゃないだろうか、これから怪しい宗教の勧誘でも始める気なの?
「……なんで、瑛夏はそんなに笑顔なの?」
いろんな疑問も浮かんだけど、とりあえず一番最初に思ったことはこれ。
どうして名前を呼ばれたくらいで瑛夏はこんなにも澄み切った笑顔ができるんだろうか。
「笑顔になることに理由なんて必要? 小夜があたしの事を名前で呼んでくれた、ほら、それだけで幸せになるじゃん!」
えへへ、とさらに瑛夏は顔をほころばせた。
嘘をついているようには見えない。
私は軽く頭痛を覚えそうになった。
なんて、私とは「正反対」の人間なんだろう。
人が多いところは苦手だ。
アーケードの中なんて私にとって生き地獄といっても過言ではないくらい。
息苦しくなるし、なにより喧騒が耳障りで癪に障る。
だから、私は用事がない限り好んではアーケードの中を歩かないようにしてる。
「ねえねえ、小夜。お昼ごはんまだでしょ? あそこの×××に入ろうよ」
その私が、苦行に耐えてアーケードを歩いているというのに、まだ瑛夏はついてきてる。
アーケードの中に入った理由は簡単だ。
瑛夏と別れたかったから、なのに人の気も知らずににこにこと、まるで最初から私の隣が定位置だったかのように歩いている。
はっきり言って迷惑極まりない。
けれど、そんな事を言えないでずるずると、とあるファストフード店の前まで来ている。
「……私、ああいうの嫌いだから」
「えー? イマドキの女の子にしては珍しいー」
瑛夏の発言はいちいち人を苛立たせる。
本当は別に嫌いってわけじゃない。
店内の雑音は嫌いだけど、それでも私はよく利用する方に入るし。
「本当は、実は嫌いなんて嘘で、今はダイエット中だから入るのがイヤとか?」
「っ!?」
にやにや顔で私の顔を覗き込んでくる瑛夏。
怒鳴り声が喉元まで出かかったけど、さすがにアーケードの中で出すのはまずいと思い、なんとか自分の中に押し留めた。
「……入ればいいんでしょ、入れば」
「さすが小夜! 友達想いだね!」
「……っ」
今まで感じたことのない気持ち悪さが私を襲って、ひどく吐きそうになった。
友達想い? 誰が? 私?
嘘。
「大丈夫、小夜? 気分でも悪くなったの……?」
心配そうな顔で覗き込んでくる、この気持ち悪さを作った元凶の瑛夏。
本当に心配してくれているのか、どことなく瑛夏の顔も青ざめている。
なんなの、こいつ。
人の皮を被った悪魔だ。
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