2010/03/08 (Mon) 03:33
街の明かりが雪に反射して、いつもより眩しい。
冷たい風が容赦なく肌を叩き、スカートをたなびかせちらりと覗く両足を赤に染める。
まだここは完成されてないらしく、フェンスなんてものは無かった。
それがかえって好都合だったけど。
下を見渡せば思わず立ちくらみする程の高さだ。
ふぅ、と最後にもう一度だけ深呼吸する。
初恋通りに付近する公園で一つの自殺体を見つけた。
この場所、この高層マンションからの飛び降り自殺だと思う。
その物体は原型を留めないほどにぐしゃぐしゃな姿で直視するには少し堪えられなかった。
着ていた服装からようやくその物体が女なんだと分かるほどに、それは悲惨なものだった。
思い出して思わず嘔吐してしまう。
なんで人は自殺なんてしてしまうのだろうか。
人間関係、金銭問題、それを全て取り巻く環境のせいか。
今はもうそんな些細なことは死んでしまった彼女には遠い過去でしかない。
そう、死んでしまえば何も無く、時間の概念も、黒い人間関係もないんだ。
私はそう思う。
きっと楽なんだろうな。
だから、死ぬことは生きることよりも簡単で、全ての呪縛から解放される唯一の手段。
羨ましいなんてこれっぽっちも思わないけどね。
だって、私も今、この瞬間に、解放の道を辿り出したんだから。
3月になっても宮城は寒いままだ。
時折神さまが上機嫌の気まぐれで少し早い春の暖かさを招いてくれるけど、それ以外は季節通りの冷たい風をびゅーびゅー景気よく吹かせている。
まるで死人のような冷たい両手を白い吐息で温めるような格好悪いことなんてしないで、私はコートのポケットの中に乱暴に突っ込んだ。
これといって仲のよい友達もいるわけでもない私には長期休暇、春休みなんてものは特に必要なものではなかった。
あれは友人に囲まれ、毎日が擬似充実してる人間の為のものだ。
だから、友達のいない、ましてや擬似充実なんかしてない私には関係ないんだ。
そんなわけで出かけるときなんかもいつも一人だ。
不満や寂しさは当然あるわけなくて、これといって困ったこともない。
困るのは今の季節の寒さと風くらいだ。
どこに向かうわけでもなく、途方に歩いてた先に自販機があったことは幸か不幸か。
真っ白な両手を再び冷たい風に当てて、バッグの中から財布を取り出す。
小銭を入れるのにも一苦労するこんな季節なんて本当に嫌いだ。
ボタンを押してからガタンと無機質な音ともにブラックコーヒーが出てくる。
砂糖入りはやけに甘ったるく感じて、前に一度飲んだきりであとは飲んだことがないような気がする。
近くのベンチに座りながら、缶コーヒーのプルトップを開けると私の両手の白さにも負けないくらいの息を吐き出した。
それが今日の寒さを示しているようだった。
冷たい風が容赦なく肌を叩き、スカートをたなびかせちらりと覗く両足を赤に染める。
まだここは完成されてないらしく、フェンスなんてものは無かった。
それがかえって好都合だったけど。
下を見渡せば思わず立ちくらみする程の高さだ。
ふぅ、と最後にもう一度だけ深呼吸する。
初恋通りに付近する公園で一つの自殺体を見つけた。
この場所、この高層マンションからの飛び降り自殺だと思う。
その物体は原型を留めないほどにぐしゃぐしゃな姿で直視するには少し堪えられなかった。
着ていた服装からようやくその物体が女なんだと分かるほどに、それは悲惨なものだった。
思い出して思わず嘔吐してしまう。
なんで人は自殺なんてしてしまうのだろうか。
人間関係、金銭問題、それを全て取り巻く環境のせいか。
今はもうそんな些細なことは死んでしまった彼女には遠い過去でしかない。
そう、死んでしまえば何も無く、時間の概念も、黒い人間関係もないんだ。
私はそう思う。
きっと楽なんだろうな。
だから、死ぬことは生きることよりも簡単で、全ての呪縛から解放される唯一の手段。
羨ましいなんてこれっぽっちも思わないけどね。
だって、私も今、この瞬間に、解放の道を辿り出したんだから。
3月になっても宮城は寒いままだ。
時折神さまが上機嫌の気まぐれで少し早い春の暖かさを招いてくれるけど、それ以外は季節通りの冷たい風をびゅーびゅー景気よく吹かせている。
まるで死人のような冷たい両手を白い吐息で温めるような格好悪いことなんてしないで、私はコートのポケットの中に乱暴に突っ込んだ。
これといって仲のよい友達もいるわけでもない私には長期休暇、春休みなんてものは特に必要なものではなかった。
あれは友人に囲まれ、毎日が擬似充実してる人間の為のものだ。
だから、友達のいない、ましてや擬似充実なんかしてない私には関係ないんだ。
そんなわけで出かけるときなんかもいつも一人だ。
不満や寂しさは当然あるわけなくて、これといって困ったこともない。
困るのは今の季節の寒さと風くらいだ。
どこに向かうわけでもなく、途方に歩いてた先に自販機があったことは幸か不幸か。
真っ白な両手を再び冷たい風に当てて、バッグの中から財布を取り出す。
小銭を入れるのにも一苦労するこんな季節なんて本当に嫌いだ。
ボタンを押してからガタンと無機質な音ともにブラックコーヒーが出てくる。
砂糖入りはやけに甘ったるく感じて、前に一度飲んだきりであとは飲んだことがないような気がする。
近くのベンチに座りながら、缶コーヒーのプルトップを開けると私の両手の白さにも負けないくらいの息を吐き出した。
それが今日の寒さを示しているようだった。
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