風が吹けば、桶屋が儲かる時代は当の昔に過ぎ去り、ただただ温かな風に思い馳せて遠き故郷を振り返ればそこは既に変わり果てた地へ変貌過ぎたりし、ああ、懐かしき古さとはいずこへ。

今日は前日の寒さが嘘のような暖かさに包まれて、猫もこたつから縁側へと移りし何を思う。
いや、まあ、普通に暑いだけですよね。

クラシカルなレコードをかければ、そこはたちまち戦後初期の空気香る場所へと。
崩壊と復興と不安と期待と。
さまざまな思いが交ぜて馳せて爆ぜて。
3月から4月へ、移り変わりの時期と言うのはそういった不安定なものではないでしょうか。
幾重にもなった強固な支柱もジェンガのように各所骨抜きされて、あまりに強く、あまりに脆い。
簡単に崩れそうで、実はしっかりしている。
そんな小難しい季節。

春はいまいずこか。